第13回中国語原書会・開催報告!

本日、池袋にて原書会を開催しました!
落ち着いた雰囲気の静かなカフェで、じっくり原書について語り合うことができました。
参加者は私含め7名。
まずリピート参加のiraさんが紹介されたのはこちらの絵本。
《小狐狸》
少数民族の暮らしに興味があり、アイヌをテーマにした漫画に現在はまっているiraさん、こちらの絵本を選ばれました。
オロチョン族という少数民族の昔話で、子狐と老夫婦のファンタジー。
絵がとってもとっても可愛いのですよ。たまらない絵がいくつかありました。
続いてこちらはネット小説が紙の本になったもの。
蔡智恒の《蝙蝠》
コウモリって蝙蝠bian1fu2というのですね。知りませんでした
3つの短編から成り、タイトルはうち1短編のタイトルです。
死んだ人がコウモリになって戻ってくるストーリー。
iraさん、今回は辞書を引かずに読んでみることに挑戦しました。確かに所々辞書を引くのをやめることで、「リズムがつかめるってこういうことなんだ」という発見があったそうです!
《蝙蝠》は読みやすく、原書初めての人にもおすすめのようですよ。
お2人目は原書会初参加のchintauさん。『中医学と広東語の日々』
ハンドルネームでわかる方もいるかも。chintauさんは広東語を学ばれているのです
養生をテーマに薬膳レシピのサロンの経営など多方面で活躍されているchintauさんが読まれたのは、季節ごと・体質ごとにお勧めレシピが紹介されているこちらの本。
香港大好き!というchintauさん、香港好きが高じて広東語の学習を開始されました。
本の紹介とともに、薬膳や漢方のお話にみんな興味津々でした。
「漢方は一見難しく思われがちだけど、そうではないことを知って欲しい」という想い、伝わってきました。ご興味ある方はchintauさんのHPをご覧になって見て下さいね!
3人目はリピート参加の状元さん
(ブログ:『状元への道 汗牛充棟 読書日記』、『中華 状元への道』、note:Gaku Ito )
原書会に申し込む→原書を読む、で原書を読んでいらっしゃるとの言葉ににんまり。嬉しいです^^
状元さんの熱さ、発想の豊かさは原書会で実際にお会いした方にしかわかりません(^^)
状元さんが今回持参されたのは《”小的”台湾史》。
この中から、”番薯也好赚”,”海海人生”について熱く語ってくださいました。
この本は国家という大きな歴史に対し、市井の人々、個人の歴史にフォーカスしたもの。
サツマイモの密貿易で儲ける話、海賊王として領土を拡大する話、これは国がやれば貿易だけれど、個人の場合は「密貿易」「略奪」になるよね、という見方になるほどなあと思いながら聞いていました。
個々の歴史から大きな歴史を連想できるのは、博識だからこそ。私だったら素通りしてしまうところに面白さ・新しい発見を見出す状元さんの発想・着眼点にいつも脱帽です。
ちなみにこの本は台湾旅行した際に台南にある歴史博物館のお土産コーナーで購入されたそうです。
目次↓
4人目はリピート参加で、ご自身も中国語読書会を開催されている舩山明音さん。
『中国語読書会』
出版翻訳者も来る原書会!になりつつあるかな?(^^)
そうです、舩山さん、原書1冊を出版翻訳されたのです!!おめでとうございます!!!
邦題は「少年美術物語」。原作は《少年美术故事》です。
全7巻のうち、舩山さんは第6巻を担当されました。すごいですね~~!
やはり1冊翻訳するのは大変だったようです。
文人、漫画家であり、日本に留学経験のある丰子恺が、子供向けに美術について書いた物語・エッセイ。中国の教科書にも使用されているようで、訳書はとても読みやすそうでしたよ。政治的背景がからむ翻訳の裏話に、やはりそういうことあるんだなあと思いました。
原書の挿絵は、日本留学中に知った日本人画家の画法に影響を受けたもののようです。
児童文学作品には疎かったのですが、知らなかった作家を知ることができました。
詩を読むのが好きと言う舩山さん、女性詩人・余秀华の本もご紹介いただきました。
作者は身体に障害をもつ、湖北省農村に暮らす女性。
農村部で一生を終えるだろう作者の想いが鮮やかに、情熱的に綴られているそうです。
調べながら丁寧に読まれている様子が伝わってきました。
5人目はリピート参加の弥太郎さん。『中国語と海外ドラマとプレミアの日記 』
杨绛の《我们仨》。私も持っていて読みたい本の一つです!
昨年亡くなられた杨绛が、92歳の時に書かれた本。
タイトルの3人とは、杨绛、夫と娘のこと。3人の思い出を振り返る回顧録なんですね。
戦時中~1990年代といえば、中国では戦争、文革、改革開放が切り離せないイメージですが、この本に登場する暮らしぶりはまるでそれらとは無縁のよう。というのもヨーロッパに留学し、波乱の時代に巻き込まれていないからなんですね。
弥太郎さんのイメージは、上流階級の人が書いた上品な作品。
一方で、もう1冊紹介された莫言の《哇》は、同じ時代なのにまさしく対称的!
弥太郎さんのご紹介だけでも、重たさ、壮絶さがこれでもかと伝わってきました。
これは一人っ子政策をテーマにした作品。
村で、このお医者さんに子どもを取り上げてもらえれば安泰だと村で評判の良かった産婦人科の医師。国が一人っ子政策を始めるや、今度は2人目を妊娠した女性を取締り、堕胎手術をする側になります。国をあげての政策に、時には妊娠6カ月の子どもを堕胎させることにも使命感に燃えてしまうところに、ふと、その時代に自分が生きていたら同じ轍を踏んでいたかもしれないと思ってしまいました。
莫言の作品で良く耳にするのが、描写がぐろい、重い、ささっと読めない。わかります!
《哇》の評判が良いことは耳にしていましたが、内容までは知りませんでした。莫言が扱うのはやはり社会問題をテーマにした印象がありますね。辛くなるのを覚悟で読んでみたい作品です。
6人目はリピート参加のushikoさん。『ushikoの記録』
タイトルと作家名、聞いたことある人も多いのではないでしょうか?
王安忆の《长恨歌》
一人の女性の40年間を描いた作品。
タイトルからは想像しがたいですが、実際は「昼ドラ」のような感じで、みんなで読んで感想を言い合いたくなる内容とのご紹介に、自然と《穆斯林的葬礼》も話題に上がりました。
美貌の持ち主である主人公は、エリートの妾となったために、エリートが死んだ後も男性との出会いはあれど独身で生涯を終えました。時代に翻弄されながらも、生き残る女性の生命力の強さを感じられるとか。中国語の勉強をするならこれ!とお勧めされるように、文章が美しいようです。
これもずっと気になっている作品でした。
タイトル、作家を知ってる、でもどんな作品か知らない、ということはよくありますよね。
原書会を通じて、見聞きしたことある作品または知らなかった作品について、どんな内容か知ることができると、”読んでみる”ハードルが一つ低くなるのだなと感じました。
これは今回の原書会でみんなが語り合ったテーマでもありました。
原書好きな仲間で色々な流れを作っていけたらいいですよね。
どんな展開になるか楽しみです。原書会でご協力できることがありましたらいつでも言ってください!
私が今回ご紹介した本は現在はまりにはまっている法医学シリーズ。
読後の紹介がたまっていますが、改めてご紹介します(^^;)
今回も楽しい時間を本当にありがとうございました!
またkindleでポチってしまいそうです(笑)
次回は6月以降の開催となります。
原書会に参加される方・紹介される本、どちらとの出会いも再会も楽しみにしております!